こんにちは!LCAコンサルタントの小野あかりです。
今日は【中小企業版SBT】についての解説記事になります。
「SBTって聞いたことはあるけど、うちの会社には関係ないんじゃない?」
「中小企業にはハードルが高いんじゃない?」
そう思っている方もいるかもしれません。

そこで今回は、中小企業版SBTに焦点を当て、
◆ 概要
◆ 取得のメリット・デメリット
◆ 取得までの具体的なステップ など
を徹底解説します!
この記事を最後まで読んでいただくことで、
中小企業版SBTの重要性や取得のハードル、
そして取得することのメリット
を理解していただけるかと思います。
それでは早速解説していきます。
目次
●SBTとは?

SBT(Science Based Targets)とは・・・
世界の平均気温上昇を2℃または1.5℃以内に抑えるために、企業が温室効果ガス排出量の削減目標を設定し、公表する国際基準(イニシアチブ)です。
CDP・UNGC・WRI・WWFの4つの機関が共同で運営しており、We Mean Business(WMB)の取組の一つとして実施されています。
2015年にパリ協定が採択されたことを契機に、 世界的に注目されるようになりました。
当初は主に大企業がSBTを設定していましたが、 近年では中小企業版SBTも登場し、 より多くの企業がSBTに取り組めるようになっています。
◆通常版SBTと中小企業版SBTの違い◆
主に以下の違いがあります。
1.算定範囲:中小企業版は算定範囲がScope1,2と限定的
2.申請費用:通常版SBTへの申請と比べると安価で済む
3.認証プロセス:通常版と比べると、認証までのプロセスは短い
全体的に中小企業版SBTの方が労力が低く済みますが、認証を取得したことで得られる効力は通常版SBTと同様である点に大きな魅力があると言えます。
中小企業版SBTの対象となる企業の条件についても後ほどご紹介しますので、自社が該当するか是非チェックしてみてください。
●取得のメリット、デメリット
まずはメリットから見ていきましょう。
中小企業がSBTを取得することには、 様々なメリットがあります。
◆メリット◆

1. 企業価値の向上
SBTを取得することで、 企業の環境に対する意識の高さを示すことができ、 投資家や消費者からの信頼を得やすくなります。
2. 競争優位性の確立
環境意識の高い企業であることをアピールすることで、 競合他社との差別化を図り、 新たなビジネスチャンスを獲得できる可能性が高まります。
3. 従業員のモチベーション向上
SBTの取得は、従業員の環境に対する意識を高め、 企業へのエンゲージメントを高めることにも繋がります。
4. コスト削減
省エネや再生可能エネルギーの利用など、 SBT達成に向けた取り組みは、 長期的にコスト削減に繋がる可能性があります。
5. リスク管理
気候変動によるリスクを早期に把握し、 対策を講じることで、 事業の安定性を高めることができます。
6. 社会貢献
地球温暖化対策に貢献することで、 社会の一員としての責任を果たすことができます。
一方で、SBT取得には以下のようなデメリットも考えられます。
◆デメリット◆

1. 費用と時間
SBT取得には、専門家のサポートやデータ収集など、 一定の費用と時間がかかります。
2. 達成目標の設定
SBTは、科学的な根拠に基づいた野心的な目標設定が求められるため、 達成には相応の努力が必要です。
3. 情報開示
SBT取得企業は、定期的に進捗状況などを開示する必要があります。
●中小企業版SBTの対象となる企業
対象企業の条件は下記のとおりです。
取得を検討されている方は、自社が当てはまるかどうか、チェックしてみてください。
1.Scope1+2の合計が1万t-CO2eq未満
2.非子会社・独立系企業
3.金融機関、石油・ガスセクターではない
4.上記に加えて、以下の3つを満たす企業
- 従業員数:250人未満
- 売上高:5000万ユーロ(約81.5億円)未満
- 総資産:2500万ユーロ(約40.8億円)未満
- 森林、土地、農業(FLAG)セクター企業ではない
●現在中小企業版SBTを取得している企業の数
中小企業版SBTの取得企業数は、 年々増加傾向にありますが、 まだその数は限られています。しかし、環境意識の高まりとともに、 今後ますます多くの企業がSBTを取得することが予想されます。
●取得済企業の企業規模や業種
中小企業版SBTを取得している企業の規模や業種は様々ですが、 製造業やサービス業などが比較的多い傾向にあります。
●具体的な取得までのステップ

SBT取得までの具体的なステップは、以下の通りです。
1. 専門家との連携
LCAコンサルタントなどの専門家のサポートを受けながら、 自社の排出量(Scope1,2)の算定に必要な情報収集を行います。その過程で削減できそうなポイントの目星を付けれると良いでしょう。
2. 目標設定
基準年と目標年を決めます。そこから下記の式で削減目標が決まります。
・2015年から2020年までの基準年の場合、
絶対削減目標の最低値=4.2%×(目標年度-基準年度)
・2020年以降の基準年の場合、
絶対削減目標の最低値=4.2%×(目標年-2020年)
3. SBTiへのコミットメント
SBTiにSBT設定の意思を表明(申請)します。
4. SBTiによる審査
申請した内容に不備がないかSBTiに審査してもらいます。
審査期間は2-3カ月程度が多いようですが、時期によっては長くなったりするようです。
5. 目標の公表
取得後はブランド価値向上のために審査が通ったことをアピールに活用したりします。
同時にSBTiに認定された目標を公表します。
6. 実施と情報開示
設定した目標達成に向けた取り組みを実施し、 定期的に進捗状況などを開示します。
●取得にかかる費用
中小企業版SBT取得にかかる費用は、SBTに支払う申請費用と依頼するコンサルタントへの費用からなります。SBTへの申請費用は1,250US$+tax(2025.1.4時点)ですが、コンサルタントへの費用はサービスの内容(対応する範囲と質)によって幅があるようです。また、中小企業版SBTを取得後はScope3の算定と削減をしていくことになりますので、そのあたりも一緒に対応してくれるコンサルタントを探すと良いと思います。
●最後に
中小企業版SBT取得は、私たちLCAコンサルタントにお任せください!

SBT取得は、企業にとって大きなメリットをもたらしますが、 専門的な知識や経験が必要となるため、 自社だけで進めるのは難しい場合もあります。
そこで、ぜひ私たちLCAコンサルタントにご相談ください。
私たちは、SBT取得に関する豊富な知識と経験をもとに、 お客様の企業に最適なSBT設定をサポートします。目標設定だけでなく、 情報収集、データ分析、計画策定、 実施支援まで、トータルでサポートいたします。
SBT取得にご興味のある中小企業の皆様、 ぜひ一度お気軽にご相談ください!
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