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サステナビリティ開示におけるLCAの役割 ― CDP・SSBJ・TCFDでも求められる“数字の裏付け”とは ―

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    o a.
  • 4月2日
  • 読了時間: 6分

こんにちは。

LCAコンサルタントの小野あかりです!

本コラムでは、サステナビリティ開示におけるLCAの役割について書いていきたいと思います。

最後までぜひお付き合いください。



目次



1.サステナビリティ開示の最新動向と「定量データ」重視の流れ

CDP、SSBJ、SBTi、TCFDなど、サステナビリティに関する情報開示の枠組みは年々増加し、内容もより精緻で実務的なものに変化してきています。

中でも特徴的なのが、「定量的な情報の充実」に対する期待の高まりです。


たとえばCDPでは、従来のような方針や取組紹介だけではスコアが伸びにくくなり、

  • 排出量の算出根拠(原単位の算定プロセス)

  • 削減ポテンシャルの定量的評価

  • Scope3カテゴリごとの排出比率とその変動要因

といった数値で語る能力が、スコア獲得に大きく関わるようになっています。


同様に、SSBJでは産業横断的な原単位の精度が求められており、単なる平均値や既存データベースのコピーペーストでは対応が難しいケースも。

また、TCFDにおいても移行リスク・物理リスクに対する影響の定量化が推奨されており、LCAを活用した温室効果ガス排出量の可視化やシナリオ分析の裏付けが、開示の信頼性向上に寄与しています。


◆開示実務で詰まりやすいポイント◆

  • 「定量データ」と言われても、何を使えばいいかわからない

  • 原単位の根拠を問われて回答に詰まる


いま、まさに「数字の整合性が問われる時代」が、本格的に始まっているのです。



  2.LCAが“定量化対応の共通言語”になってきている理由

ここで注目されているのが、LCA(ライフサイクルアセスメント)です。

LCAは、製品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルまでの全工程で、環境負荷(特にCO₂排出)を数値化する手法。

つまり、「定量化」のためのフレームワークそのものとも言えます。


CDPのスコアリングガイドラインにも、Scope3カテゴリ別の排出量評価や、削減施策の“エビデンス”としてLCAに基づいた情報提供が高評価につながる場面が増えています。


SSBJやSBTiでも、「科学的根拠に基づいた目標設定」を行う上で、工程単位・製品単位のLCAデータが欠かせません。

LCAができる=根拠のある数値を出せる企業、という構図が、開示の信頼性やスコア向上に直結しているのです。



  3. ツール導入企業も例外じゃない

LCAを導入していない企業はもちろん、既に簡易的なLCA計算ツールを導入している企業でも、「これで十分なのか?」「もっと根拠あるデータが必要なのでは?」と感じている方も少なくありません。

こうした不安を放置すると、開示直前で慌てたり、社内での合意形成が難航する原因にもなります。

ですが、逆に言えば“今から始める”ことで、将来的な開示対応の手間を大きく減らせるケースが多くあります。

とくに、以下の3点に少しでも着手しておくと、CDPやSSBJ対応の際に“慌てずに済む”下地ができます。


  • 自社のCO₂排出量の“見える化”: 製品単位/工程単位でのCO₂排出量をざっくりでも把握しておけば、「どこを削減するか」の判断材料になります


  • 原単位整備のスタート地点を探る:

    LCAに必要な原単位データは、一度整えると社内外で“共通言語”として活用可能。業種に近いデータの洗い出しからでもOKです


  •  社内で“使えるLCAデータ”をつくる:

    開示に使うだけでなく、「社内の理解・合意形成にも使える」LCAデータがあれば、削減施策の実行力が格段に上がります


    ⇒ ここで言う「使えるLCAデータ」とは?

    単に計算されたCO₂排出量の数値だけでなく、

    • 出典や算定根拠が明記されており

    • 社内で再利用・共有できる形式で整理されていて

    • 製品設計や原材料選定などの判断に役立つこうした実務に活かせる“LCAのベース情報”を指しています。


LCAは「正確に測ること」が目的ではなく、“説明責任を果たせるデータをつくる”ことが本質。 まずはできるところから始めるのが、開示対応の第一歩です。



  4.開示スコアアップに効くLCAの始め方

最後に、LCAを開示戦略に活かすための実務的なスタート方法をご紹介します。

 

◆ 既存データを活かしたミニマムスタート:

Scope3カテゴリ1・11の試算など、業界平均や簡易原単位を活用して小さく始めるケースが増えています。


◆ カスタム原単位の整備支援:

GreenGuardianでは、文献・実測値・構成要素分析などを組み合わせて、自社に適した“独自原単位”の構築支援を行っています。


◆  LCAを“開示インフラ”として社内に定着させる:

データを蓄積・再利用し、部門横断で使える仕組みとしてLCAを整えることで、開示対応力が長期的に高まります。



  5.本コラムで伝えたいメッセージ

  • CDP・SSBJ・TCFDでは「定量的な裏付け」がスコアの鍵になる

  • LCAは開示対応の“インフラ”として活用できる

  • Scope3対応には、原単位整備を早めに始めるのが有利

  • LCAは“できる・できない”ではなく、“どこから始めるか”が重要



  6.おわりに

サステナビリティ開示において、LCAは“数字の説得力”をもたらす基盤になります。

脱炭素経営が当たり前になりつつある今、CDPやSSBJ、TCFDなどのフレームワークに対応するうえで、単なるポリシーや活動報告ではなく、「なぜそう言えるのか?」という“根拠ある数値”の提示が求められています。

その“裏付け”を支えるのが、まさにLCAの考え方とデータ整備です。

とはいえ、


「LCAを整備するのは時間もコストもかかりそう…」 「社内に詳しい人もいないし、今は手を出せない…」

「使っている原単位が正しいのかどうか分からない…」


そう感じている方も少なくないと思います。

でも実は、すべてを完璧に整える必要はありません。

今あるデータから「まずは試算してみる」こと、既存のデータベースを使って「仮の数値を持ってみる」ことだけでも、次の開示で出せる情報の幅が広がり、他部署との会話が変わります。


LCAは一部の専門職だけのものではなく、これからのサステナビリティ担当者にとっての“共通言語”であり、思考ツール”です。

「うちはまだ何もできていない」ではなく、「いまの自社にできるLCAから始める」ことこそが、信頼される開示の第一歩なのではないでしょうか。


★今から小さく始めれば、1年後の開示対応はもっとラクになります★

★「数字の裏付けを持つ企業」として、対外的な信頼も高まります★


GreenGuardianでは…

  • 業種別の原単位整備から、Scope3算定支援

  • ツール導入後の「このままでいいのか?」という不安にも、実務ベースで並走サポート

  • LCAが“活用できる形”になるまで、実務目線で並走サポート


などを行っています。


「自社でどこまでできるか試してみたい」

「うちの業界に対応する原単位が見つからない」

「いまの算定方法でいいのか分からない」

という方も、まずはお気軽にご相談ください。

社員のプロフィール写真


 

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