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コラム記事

地域経済にも通じる話;V字回復


嬉しい知らせが届きました。

これまでシステム思考を活用して将来の経営ビジョンや目標(KPI)作成のお手伝いをしてきた「とある調剤薬局」から経営についても伴走して欲しいと依頼があり、昨年から経営に関しても少しづつお手伝いをしてきのですが、「決算まであと2か月弱ですが、現時点で1000万円ちょっとの利益があるので黒字は確定です。節税対策をしなきゃ!」と連絡が来ました。必要な投資を考えつつ、来年度に向けて色々と準備する余裕ができて本当に良かったと思います。



この調剤薬局はパートさんを含めて10名程度、ご夫婦は二人とも薬剤師であり経営者としてほぼ毎日働いておられました。これまではなんとか黒字で終えることが出来ていましたが、昨年度初めて赤字が確定したことで「このままではいけない、何か変えなくては、、」と危機感を抱いたそうです。実際、赤字としては大きくなく数字が若干足りなかった程度ですが、大きなショックを受けたのだと思います。


そんな背景から藁にも縋る思いで関わりのあった当社にお声がけ頂いたのだと思います。

私たち自身は医療業界のことについては全く分かりませんし、経営のプロでも経営に関する何かの資格を持っているわけではありませんが、それでもいいからと仰って下さったので引き受けることにしました。


しかし、引き受ける前のヒアリングで全く関係のない外部組織の当社だから出来ること/やれることがあるとすぐに実感しました。

例えば、会社内部の人では経営者に対して言いづらいことでも言える(通訳して伝えられる)。素人なので何でも質問できる。質問すると相手も改めて考えることに繋がる。その結果、業界の当たり前は実は他の業界では当たり前ではないということも分かったり、、、等

特に特別なことではないのですが、上記に加えて地域経済を良くする方法と同じやり方を実践してみました。ポイントは下記の三点です。


・これからの会社の方針を決めること

・感覚だけに頼った経営との決別と透明性の確保

・数字を基にした話し合い



一点目、これからの会社の方針を決めること

経営ビジョンや目標(KPI)はこれまでにお手伝いして明確になっていたものを活用しました。この調剤薬局の特徴は、経営ビジョンや目標に売上目標を入れることはしないと決めたことです。これまではなんとなく売上が伸びることが目標としてしまっていましたが、売上は無理に求めずある程度の利益がある(定常)状態で良いと考えたのです。その背景として、全従業員がこれまでは毎日懸命に働くだけで一杯一杯。忙しくて他に何かやる余裕がない状況でした。特にオーナー夫妻は満足に休む暇もない状況で事態は深刻でした。皆さんの希望としては「定年後も無理なく働きたい」とのことでしたので、忙しすぎる現在のやり方は将来的に続かないと思い、どうすれば良いか話し合いました。結論としては、既に両手が塞がっている状況なので何かを手放すということ決め実行しました。具体的には、一定額の売上はあるけど利益にあまり貢献していない事業があったので、その事業を同業他社に譲り、自分達はメイン事業に注力するということを実行しました。これまでの繋がりもあり、大変悩まれましたが、必要なことでした。

上記によって窓口業務や営業準備などの業務全般と在庫管理のスマート化が実現し、その副次効果として必要な人員の削減、つまりは時間的余裕が生まれました。今では、オーナー夫妻は定休日に薬局に出て薬の準備をすることもありませんし、帰宅が深夜になることもお昼ご飯を食べる時間が立って5分しかない!なんてこともなくなりました。余程特別なことがない限り、定休日は祝日も含めて出勤することはありませんし、一日の労働時間も大幅に減りましたが、給料は据え置きです。新しい薬についての勉強もできるし、これまで出来なかった家事や友達とのランチもできるようになりました。



二点目、感覚だけに頼った経営との決別と透明性の確保

これまでは地元の税理士事務所に会計関連を任せきりでなんとなく会社を運営していました。やることといえば、領収書を取っておいて月末に渡すくらい。そして、年度末になると税理士から今年度はちょっと黒字でしたという報告を聞くだけです。これまでは、長年の経験からなんとか黒字をカバーしていましたが、ついに昨年度に破綻が起きたのだと思います。

こういった背景から、きちんと経営と向き合う為にリアルタイムで現状を教えてくれるソフトウェアを導入しました。Web上で見れるものですので、損益計算書や一般管理費の内訳の見方を教えつつ、社員ならアクセスできるようにしました。



三点目、数字を基にした話し合い

これまでの経験と感覚は大きな武器になり得ますが、数字を活用することで精度を劇的に上げることが出来ます。また、数字を活用することで論理的な説明が可能になり、従業員からもこうしたら良くなるのではないか?といった提案をしやすくなります。

上記のソフトウェアを活用して「どうしてこうなるのか?問題はどこにあるのか?どこをどうすると良い状態になるのか?」を一つ一つ確認していきました。

その結果、調剤薬局は一店舗にもかかわらず、二店舗分の保険料を支払っていたこと(昔は二店舗あった)や逆ザヤ(販売価格より調達価格の方が高い)の薬が多数含まれていたこと等、見直しのポイントが分かりました。それらを一つ一つ改善した結果、タイトルにある通りV字回復に漕ぎ着けました。



難易度としては、地域全体を良くするお手伝いの方が高いことは承知していますが、

同様の手法で一企業の経営状況を改善できることが証明されたことは大きな成果でした。

「自分たちは今、どこにいるのか?そして、どこに向かいたいのか?」というのは簡単そうで難しい問です。しかし、多くの人が言うように戦略レベルの失敗は戦術レベルの成功で覆せないとも感じます。地域経済を考える際も、まずは、「この大変重要な問い」から考えてみてはいかがでしょうか。



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