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LCA原単位データベースIDEAの完全ガイド─よくある質問を専門コンサルタントが分かりやすく回答

  • 執筆者の写真: o a.
    o a.
  • 5月21日
  • 読了時間: 7分

更新日:5月26日

こんにちは。

LCAコンサルタントの小野あかりです!


先日、LCA原単位データベースのIDEAから最新版がリリースされたという記事を書きました。


LCAを行う場合に、欠かせない存在となりつつあるLCA原単位データベース「IDEA」ですが、一方で、

「IDEAってそもそもどういうデータベース?」

「原単位って何?Scope3とどう関係あるの?」

「バージョンが変わったことで、実務にはどんな影響があるの?」

といった疑問を持つ方も少なくないと感じます。


そこで本記事では、IDEAを初めて使う方から、すでに業務に取り入れている方まで幅広く役立つよう、よくある質問13個をピックアップしました。

基本的な考え方から、Ver.3.5の変更点、実務上の注意点まで、LCAコンサルタントの視点でやさしく解説していきますので、ぜひ最後までお付き合いください。



Q&A一覧



Q1.IDEAって、そもそもどんなデータベースなの?

日本のモノづくりやサービスが、どれくらい環境に影響を与えているかを見える化するための「ものさし」です。

たとえば「鉄を1kg作ると、CO2は何kg出るの?」「宅配1件あたりの排出量は?」といった、生活やビジネスの中のあらゆる活動による環境への影響(温室効果ガス排出量など)を数値で示してくれます。

企業が「うちの製品は環境にどれくらい負荷をかけているんだろう?」と把握したり、サプライチェーン全体の排出量(Scope3)を計算したりするときに使われます。



  Q2.原単位ってよく聞くけど、何を表すものなの?

「1つの行動や製品あたり、どれくらいのCO2が出るか?」を示す数字です。

たとえば「牛乳1リットルでCO2は1.2kg」などのように、排出量を“1単位あたり”で表したものが原単位です(この場合は1リットルあたり)。

単にCO2の合計量を見るのではなく、「どれくらいの量や金額の活動に対して、どれくらい排出されるのか?」がわかるので、製品単位の比較や改善にも役立ちます。



  Q3.LCAって、実際の業務ではどう使われているの?

LCAとは、 製品やサービスが環境に与える影響を、最初から最後まで追いかけて「見える化」する方法です。

たとえばある商品の場合、「原材料を採るところから、製造、流通、使用、廃棄やリサイクルまで」の全ての工程における環境負荷(CO2、水使用量、資源消費など)を合計して評価します。

オーソドックスな使い方として、 企業では、どの工程で一番CO2が出ているかを確認し、省エネや原材料の見直しなど、改善ポイントを探すのに活用されています。



  Q4.原単位データベースの定番はやっぱりIDEAなの?

はい、少なくとも日本国内のLCAやScope3算定では、最も広く使われていると言えるでしょう。

IDEAは約5,000種類を超える製品・サービスのデータを持ち、日本の産業構造を反映した高い網羅性と精度が特徴です。

多くの企業がLCAやカーボンフットプリント算定の際に採用しており、学術的な信頼性も高いため、標準的な基盤データとして活用されています。



  Q5.今回のIDEA ver.3.5で、どこが新しくなったの?

Ver.3.5では、以下のような大きなアップデートがありました。

(1)最新の電力構成に基づいた電力排出係数の見直し

(2)バッテリーや素材系データの欧州基準(ILCD)対応

(3)輸送関連の排出係数の更新

(4)API連携による自動接続機能の強化

これにより、IDEAはより精度が高く、国際的にも使いやすいデータベースになりました。



  Q6.IDEA ver.3.5で、Scope3のどのカテゴリに影響が出そう?

カテゴリ1(原材料)、カテゴリ4と9(輸送関係)で、数値に変化がある可能性が高いです。

特に、バッテリー・素材のデータ強化や、輸送に関する排出係数の更新が行われているため、これらに関係する事業活動では、以前のバージョンよりも算定結果が変わる可能性があります。 また、新たに作成された原単位と密接な関係にある原単位や輸入しいている原材料で日本のデータから海外のデータに入れ替えられたものなどは特に注意が必要です。

再算定の必要はありませんが、今後比較や報告をする際は注意しましょう。



  Q7.古いバージョンと数字が違うときはどうすれば良い?

基本的に「その当時のバージョンで正しく算定されていればOK」です。

IDEAは年々アップデートされるため、最新のバージョンで数値が変わるのは自然なことです。

ただし、社内資料や外部報告では「IDEA v3.4を使用」など、使ったバージョンを明記しておくと、後で見返すときにも分かりやすくなります。



  Q8.「ILCD対応」って言われたけど、何がどう変わったの?

ヨーロッパの基準に合わせた形に整理されて、海外でも使いやすくなりました。

ILCDというのは、欧州で広く使われているLCAデータのルールのことです。

Ver.3.5ではこの基準に合うよう、特に注目度の高い「電池や素材」まわりのデータが見直されました。

これにより、海外輸出やEU規制への対応が求められる企業にとって、信頼性のあるデータとして使えるようになります。



  Q9.どんな業種の企業がIDEAを使ってるの?

食品・化学・鉄鋼・電機などの製造業を中心に、さまざまな業種で導入が進んでいます。

特にLCAが重視される業界では、製品単位でのCO2排出量を算定するための基本ツールとして使われています。

近年では非製造業や中小企業でも導入が広がりつつあり、業種を問わず環境への取り組みが必要になってきていることがわかります。



  Q10.IDEAを使えば、自社のCO2排出量が“正確に”わかるの?

「目安」としては優秀ですが、自社の実態とピッタリ合うとは限りません。

IDEAに掲載されているのは「日本の平均的な」データです。

なので、自社が平均よりもエコな製造をしていたり、逆にエネルギー多めに使っている場合には、ズレが生じます。

理想的には、可能な限り自社で独自原単位を作り、改善・更新していくことです。



  Q11.使うときに注意した方がいいことってある?

単位の確認と、他のデータベースとの混在に注意が必要です。

「kgあたり」なのか「円あたり」なのか、単位を読み違えると大きく結果がずれます。

また、単位換算時にもミスが起こりやすいです。(kgをtonに換算するなど)

ここを間違えると正しい値から1,000倍離れた数値が出てくるので悲惨です。

さらに、他の原単位データと混ぜて使う場合は、計算ロジックや前提条件が違うことがあるので、しっかり確認してから使うようにしましょう。



  Q12.IDEAって無料で使えるの?

一部の概要や参考データは見られますが、本格的に使うには有料ライセンスが必要です。

以前は国の支援で無料公開されていた時期もありましたが、現在はそれが終了し、有償ライセンスでの提供となっています。

最新版の利用には、IDEAを管理している機関との契約が必要となります。



  Q13.IDEAを使い始めるときに、まず何からやるべき?

「何をしたいのか?」という目的を明確にするのが第一歩です。

原材料の排出量を見たいのか、輸送や廃棄の影響を調べたいのか、それによって必要なデータが変わります。

ツール選びやデータ取得もスムーズになりますし、不安があれば外部の専門家やサポートサービスに頼るのも良い選択です。



以上、LCA原単位データベースIDEAに関するQ&Aでした!

いかがでしたでしょうか?

少しでも皆さんのお役に立てたら幸いです。


株式会社Green Guardianでは、IDEA活用のサポート他、以下の支援を行っています:


  • 適切な原単位データベースの選定

  • 独自原単位の開発

  • Scope 3排出量の可視化・削減支援

  • 製品単位でのGHG排出量の可視化・削減支援

  • 出口戦略まで見据えた伴走型コンサル


もし少しでも気になっていただけたら、初回無料相談も受け付けておりますので、

まずは下記「お問い合わせ」ボタンよりお気軽にご相談ください。


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